
シャドーイングとは、付きまとうように、介護者や家族にピッタリとついていることをいいます。
シャドーイングが起こるのは、認知症などに陥った人が強い不安を感じていることが多いです。
そのためにシャドーイングが起こった場合は、まず、認知症に陥った方の不安を受け止めることが大切です。
その上で、主体ある日常的を送れるように配慮をする必要があります。
本日は高齢者の方の記憶に関してのお話です。
〇本日のテーマ 認知症 記憶障害 対応
〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。
〇読者への前置き
精神医学と心理学の二方面から人間の様々な心理的な面を述べていきます。
認知症 記憶障害
記憶の長さでの分類
高齢者か、高齢者でないかにかかわらず、記憶は、「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」に分類されます。
「感覚記憶」は、たとえば、何かを見たり、聞いた時に、一瞬、イメージがそのまま残っていますが、それが感覚記憶です。
電車で本など読んでいて、チラッと電車の窓から風景を見て、また、本に目をやっても、風景が数秒記憶にのこっていますね。感覚記憶の働きです。
長期記憶・短期記憶は記憶の保持時間に着目した分け方です。
短期記憶で、記憶に留めることが必要なものは、長期記憶に送られます。

長期記憶 種類
●言葉にできるかどうかで分類
長期記憶は「宣言記憶」と「手続き的記憶」の2つに分類できます。
「宣言的記憶」は、言葉で記述できる記憶のことです。
「手続き的記憶」は、身体の動かし方など、言葉で記述できない記憶です。
●「宣言的記憶」「手続き的記憶」をさらに分類すると
「宣言的記憶」は、「意味記憶」と「エピソード記憶」に分類されます。「手続き的記憶」は「手続き記憶」と「プライミング記憶」です。
●「意味記憶」と「エピソード記憶」とは?
「意味記憶」とは、よく知られている知識や事実についての記憶のことです。例えば、「地球は約24時間で、一回自転をする」などである。
「エピソード記憶」とは、いつ、どこで、何があったということです。t例えば、「今日、学校で運動会があった」というものです。
●「手続き記憶」と「プラミング」とは?
「手続き記憶」とは、体で覚えた記憶。例えば、「自転車に乗ることや、楽器を演奏すること」などの記憶。
「プライミング」とは、先行の刺激が後続の認知や判断に影響を与える現象。たとえば、「青い、青い・・繰り返し口で言って、突然赤い色を見せて、『何色?』と聞くと、『青い』と言ってしまうことなどです。
アルツハイマー型認知症の記憶障害の特徴
アルツハイマー型認知症は「記銘力(新しいものを覚える力)の低下」「エピソード記憶の喪失」「記憶の逆行性喪失」とされています。
●記銘力の低下
記銘力の低下とともに昔の記憶は保たれてつつ、近時記憶が失われます。
●エピソード記憶の喪失
体験した内容ばかりなく、体験したそのものを忘れます。
具体的には、「何をたべたか」を忘れるのではなく、「食事をとったそのこと」を忘れてしまいます。
●記憶の逆行性喪失
新記憶から、タイムスリップのように、過去へ向かって忘れていきます。
片付けた場所を忘れる
認知症に陥ると、片付けた所をよく忘れてしまいます。俗にいう「しまい無くし」をしてしまいます。
また、しまい方もややこしいしまい方をします。具体的には本棚の本の間に挟むとか、タンスの引き出しの中でなく、引き出しの裏とか等々です。
また、本人は無くしたことを覚えているので、ずっと探し続けます。
物盗られ妄想 対応
こんな時、良くおこるのが「物盗られ妄想」です。自分が大切なものを無くすはずがないと思うことから、「◯◯さんが盗った」となります。
家族のほか、世話になっている介護士とか、ホームヘルパーなども疑われます。
対処方法は、「否定をしない」「一緒に探してあげる」こと。さらに普段から、本人と会話をして、ストレスの発散を図ってあげること大切です。
脳の毒だし
認知症に陥ると、後は進行を遅らせることが大切になってきます。
以前にお話ししましたが、脳の毒出しや、神経細胞の傷つきを直していく食べ物を食べたりすることや、脳トレが有効です。
また、カラオケによる懐かしい歌を聴いて、その歌の当時の自分を思い出すことも良いでしょう。
歌は、その歌が流行った当時のことを思い出すことができます。
また、記憶を失っても、自尊心を失うことがないようにする工夫が大切です。
また、大好きな食べ物の味覚が、記憶をよみがえらせることがあります。
歌などの音、臭いや味なども最大限に利用することも有効です。
認知症に陥った人が、繰り返し歌を練習して、歌をマスターした例があります。これは、手続き記憶として(つまり、自転車に乗るのをマスターするように)、歌をマスターしたのですね。
これで記憶全般が良くなるというわけでありませんが、手続き記憶を利用すれば、まだ覚えられるとの自信につながると思います。
ただ、無理に歌を歌わせるのではなく、本人がやりたい気持ちを尊重することが大切です。