
昨日は、レビー小体型認知症の原因と症状のお話をしました。
パーキンソン病も、実はレビー小体が悪さをすることを知って驚いた方も多いのではないかと思います。
脳幹からレビー小体に侵されるのがパーキンソン病で、大脳皮質側から侵されるのが、レビー小体型認知症です。
一度罹患(りかん)すると、中核症状と支持症状に分かれ、深刻な状況になります。
できるだけ罹患をしないように、生活習慣習慣病に陥らないことと、陥った場合、早期に治療をすることが大切です。
大体の発症年齢は75歳から80歳の高齢者に多く見られます。まれに30代や40代で発症することがあります。
正確な知識を持つことで、ある程度の予防は可能となります。
本日は、レビー小体型認知症の経過と対応です。
〇本日のテーマ レビー小体認知症 経過と対応
〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。
〇読者への前置き
・精神医学と心理学の二方面から人間関係を困難にする状況をゆっくり解説します。

レビー小体認知症の経過
レビー小体認知症は、以下の経過をたどります。
初期
嗅覚の異常や便秘、レム睡眠時行動障害が初期には現れやすいと言われています。
それに引き続いて、幻視、パーキンソン症状が現れてきます。また、起立性低血圧(たちくらみなど)もこのころ現れます。
また、呑み込みの機能が悪くなり(嚥下障害)、物を飲んだり、食べたりするとむせることがあります。
さらに進むと幻視、錯視、幻聴、妄想が増えてきます。
初期では認知機能、見当識機能は良好で、軽いもの忘れ程度です。
中期
パーキンソン症状がひどくなります。歩行が難しくなります。
認知機能が悪化し、他人との会話もおぼつかなくなります。
記憶障害も激しくなってきます。
さらに、幻視・妄想がひどくなり、周囲の人も対応に苦慮するようになります。
自分の周りに怖い人がいて、「攻撃を受ける」という妄想が多くなります。
恐怖のあまり援助を求めて、介護者にしがみつきます。
後期
認知機能のさらに悪化し、パーキンソン症状もひどくなります。
介護なしで、日常を送ることは不可能になります。
ただ、介護者から冷たい仕打ちを受けたと誤解をして、介護者をさけることもあります。
「見知らぬ人が家に侵入した」などが見える、幻視による不安が見られます。
嚥下障害から、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こすこともあります。
レビー小体認知症への対応 ※昨日の記事参照
認知機能への対応
レビー小体認知症では、無気力や錯乱状態を繰り返します。
認知機能の変動を頭に入れておく必要があります。
周りの人が何かを伝えたいときは、本人の調子に合わせて伝えるようにするとよいです。
また、本人の調子が悪いと、許す限り傍(そば)にいて見守り、何かあったら対応することが大切です。
幻視への対応
本人が幻視をしない環境を整える必要があります。
例えば、室内の電灯のなどの明るさを一定にして、壁紙なども絵柄が入ったものを避けるのがよいでしょう。例えば、無地や白などのシンプルなものが良いでしょう。
壁に服などを掛けない、特に目を引くものを置かないなどの配慮も必要となります。
さらに幻視を否定することを控えて、「〇〇が見えている」ことを「そんなもの見えないよ」などと否定をしないことが大切です。
本人にとって悪までも見えていることなので、恐怖や不安の気持ちを読み取り、ともに過ごして、寄り添うことが大切です。
パーキンソン症状への対応
パーキンソン症状は、手足の震え、筋肉のこわばり、動作が緩慢になり、バランスや姿勢を崩すことになります。
特に、高低差がある階段や、椅子からの立ち上がりには十分に気を付ける必要があります。
転倒による骨折に注意をして、くれぐれも寝たきりなどのならないことが大切です。
レム期睡眠行動異常症への対応
就寝してから、およそ90分後に、最初のレム睡眠がおとずれます。
昨日、解説しましたが、レム睡眠が現れると、暴れたり、叫んだりすることが現れます(レム期睡眠行動異常症)。
就寝後の症状は10分ほどで収まることが多く、危険なことがないかを見守るようにしてください。
ただ、朝方のレム睡眠の場合は、異常行動が10分以上続くことがあります。
体をゆすって起こすことをすると、現実と夢が混同して、より暴れてしまうこともあるので気を付けてください。
日中起きているときに不安を感じたり、恐ろしいテレビを見たりすると症状が悪化することがあるので、こちらも気を付けてください。