前回はトラウマ(以下PTSD)に陥る時を述べました。例えば、命に関わる体験をして、それが影響をして、何年もフラッシュバック(再体験)を経験することがあります。
むかし、「質屋」というアメリカの映画がありました。ナチスに追われたユダヤの男の人がニューヨークで質屋を開いて生活をしている話です。
その男の人は、ナチスに子供たちを殺され、奥さんを奪われた上で殺されました。ニューヨークの交差点で信号待ちをしていると、フラッシュバックを起こします。
実によくフラッシュバックのありさまが描写され、あたかも今さっき、ナチスの拷問に自分や家族があっていることを思いだします。
時間も関係なく、フラッシュバックは起こします。とてもつらい体験です。本日は複雑性PTSDのお話をします。アドラー心理学は「建設的な人」の話です。
〇本日のテーマ 1.複雑性トラウマとは 2.アドラー心理学 人間関係 「建設的な人」
〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。
〇読者への前置き
・精神医学とと心理学の二方面から人間関係を困難にする状況をゆっくり解説します。
・また、心理学の紹介(今はアドラー心理学)の紹介をしています。
複雑性トラウマとは
こんな話がありました・・・
私の同僚なのですが、仕事の途中、突然泣き出して、「私が悪い。とっても恥ずかしい」などと言います。
周りの人たちはいったい何が起こったのか、分かりません。話を聞くと、仕事をミスしたのを年下の同僚が指摘をしただけなのです。
その人は、幼い頃から親に繰りかえしDVなどを受けて(本人が何気なく語ったことです)、その影響で、いろいろなことに恐怖や脅威を感じたりするそうです。
よく、ご飯などをみんなで食べますが、話している言葉を捉えて怒ったりして途中で帰ったりします。どうしたらよろしいのでしょうか?
PTSDと、複雑性PTSDの違いは自己組織化の障害(DSO)と言われています。
自己組織化とは、次のことです。
ICD―11(WHOの基準から)分かりやすいように書き換えます。
同僚の方は、複雑性PTSDの可能性があるので、早めに医師の治療等を受けられることをお勧めします。
アドラー心理学 人間関係 「建設的な人」
こんなことがありました・・・
私(女性)は再婚をしたのですが、再婚相手の男性の連れ子である高校生の女子から、いつも「お金を貸してほしい」と言われます。
子供のいない私は、なぜか断われないまま、1000円、2000円と貸しているうちに、10万円ほどになってしまいました。
無論、その子の教育にはとてもよくないと思いつつ、貸してしまいます。私は父親が厳しくて、幼い頃から、他人の顔色を気にしすぎてしまいます。
そのせいか、断わるととっても悪い気持ちになります。
どうすれば良いでしょうか?
精神分析的な観点からは、親に厳しく育てられた人は、親の顔色をついつい見てしまう癖が身に付いてしまうとあります。
その癖が対人関係に発揮され、ついつい相手の顔色を見て、相手の要求を「いやだなあ」と思いながら断われません。
事例の女性もそのようですね。では、どうすれば良いでしょうか?
アドラーは、「良い人」であるよりも、「建設的な人」であることを推奨します。
「建設的」とは、結局大きく見て(大局的に見て)、お互いのためになることを行うことです。
事例の場合は、確かに、お金を貸すことは、その場の「雰囲気を悪くしない」という働きをするかも知れませんが、結局は、高校生の為ためにもよろしくないですし、この女性のためにもよろしくないです。
さまざまな考えがありますが、子供の時に、お金の貸し借りで、返さないで済むことを覚えた人間は、大きくなっても借金を背負ったりしやすい(つまり、お金を返さない)との報告もあります(無論ちがう考えもあります)。
この場合は、キチンと断わり、「毎回お金を借りに来る異常さ」を伝えなければなりません。また、自分で言えない場合は、父親の力を借りたほうがよいと思います。
それが、結局は建設的な方向性になるのです。「良い人」より、「建設的な人」でいられることが大切です。それが、無理をしない人間関係につながっていきます。