人間関係に疲れた時16 反社会性パーソナリティ障害(4)支援

反社会性パーソナリティ障害(4) 支援

反社会的な行動をとる人を避けたいと思っても、職業上対応しなければならなかったり、家族にいる場合は、なかなか避けることができません。

昨日は対応の仕方を話しました。少し、対応と重なる部分があるかも知れませんが、本日は支援の話し方をしたいと思います。

〇本日のテーマ

 反社会性パーソナリティ障害の者への支援

〇以下の流れでお話をします

①反社会性パーソナリティ障害の特徴とチェック表(3日前)

②反社会性パーソナリティ障害の原因(一昨日)

③反社会性パーソナリティ障害の者への対応方法(昨日)

④反社会性パーソナリティ障害の治し方(本日)

〇記事の信頼性

記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。

〇読者への前置き

毎日少しずつ人間関係を壊すことになる原因の心理学の記事を書いています。

反社会性パーソナリティ障害の者への支援

とても難しいことですが、反社会性パーソナリティ障害の人への支援も、自分で治す意思が必要になります。まずこれが前提です。その上で次のような療法が考えられます。

【昇華を図る方法】

反社会的な行動を社会的に認められるものに置き換えていくことです。

例えば暴力事件をたびたび起こす場合は、ボクシングや空手に置き換えて、「暴力」を「格闘技」というものに置き換えていく方法です。昔「あしたのジョー」という漫画がありました。

主人公の矢吹ジョーは暴力事件をたびたび起こしたり、詐欺を働いたりして、いわゆる反社会性パーソナリティ障害の者として登場します。

ところが、丹下段平(たんげだんぺい)というボクシングのコーチとめぐり合い、信頼関係を築きながら、ボクシングの魅力に引寄せられ行きます。するとジョーの反社会性パーソナリティ障害は治まっていきます。

似たような話に、マイクタイソンが少年院で、カス・ダマトというコーチと巡り合い、カス・ダマトとの信頼関係のもと、ヘビー級のチャンピオンになった実話があります。これは昇華の良い例です。

ただ、昇華を図る時に、周りからの強制ではなく、反社会性パーソナリティ障害の人が自分で進んでやりたいというものでなければならないと成功しないと思います。

【心理療法】

心理療法としては、集団精神療法、家族療法などが考えられます。

・集団精神療法
同じ障害を持つ者がグループになり、会話をしたり、共同の作業を行い、社会に適合できない部分を発見し解決する方法を行います。以下ご参考に。研修会もやっています。

一般社団法人 日本集団精神療法学会 | Japanese Association for Group Psychotherapy 日本集団精神療法学会は、グループ(集団)を活用して人の成長や回復を支援する試みを探求している学会です。 (jagp1983.com)

・家族療法
家族で、反社会性パーソナリティ障害の人とどのように向かい合っていくかを考えていく療法です。

家族療法は原因を探らずに、相互に影響し合い、家族の欠けたところに、問題の行動が現れてくるという考え方です。

よく、アルコール依存症の患者の家族をみると、父親を悪者にして、母親と子供がタッグを組んで、父親を責める構図が見られたりします。父親は家族に責められることから、家族に反発して大酒を飲んだりするという悪循環が見られます(無論全てでありません)。

そこで、母親に父親を責めることを止めさせると、父親が酒を飲まなくなることがあります(全てに当てはまるわけでありません)。

このように相互作用を見つけ、修正することで、問題行動を起こしている家族を治して(支援して)行くことです。

家族療法(後の回で解説します)には、さまざまな派があり、自分にあったものを選択すると良いでしょう。以下をご参考に。

一般社団法人 日本家族療法学会 (jaft.org)

【薬物療法】

一般の方は薬物を扱えませんが、反社会パーソナリティ障害性に有効なものは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や、気分安定薬、抗精神病薬です(リチウム、カルバムアゼピン、バルブロ酸など、)。

【TMS治療】

パーソナリティ障害の人の感情や衝動性に、磁気刺激治療(TMS治療)が有効との論文発表があり、欧米で普及しています。

アメリカ食品医薬品局(FDA)での認可を受けた治療法です。インターネットで実施の病院が探せます。「TMS治療  病院」と検索してください。

【接し方の注意を守ること】

昨日述べましたが、「信頼関係を壊さない」「否定し過ぎない」「相手を認める」などの態度が大切です。また、反社会行動は、毅然として冷静に対応しないといけません。ネットワークをはることも忘れずに。

【医療保護入院という方法】

あまりに反社会行動が強く、家族がつらい思いをしている時に、医療保護入院という制度があります。この入院は、精神保健指定医の判断と保護者(いなければ市区町村長)の同意があれば強制的に入院できます。また、退院は本人の意思でできなく、医師が退院の時期を決めます。

           質問コーナー

Q:反社会性人格障害の人を治療に行ってもらうためのコツは何でしょうか?

A:反社会性人格障害の人は、「むこうみず」で、治療など信用しないのが一般的です。
そこで、あなたと障害の人の人間関係を前提に「困っている。治療してほしい」とのメッセージを送ることです。

ただ、そうとは言え、上手くいかない場合は、医療保護入院が可能か、病院と相談してはどうでしょうか? ただ、本人が望まない入院になるので、特に「自分や他人の身体や生命を損なう可能性がある場合」などがあり、警察、弁護士などの手助けを受け、八方手を尽くしたなどの話があればよいと考えます。

医療保護入院を悪用して、法律沙汰になっている話を聞くので、いよいよ困った時等に行うなどの注意が必要です。

 

ターボん について

博士(心理学)、公認心理士、臨床心理士 カウンセリングを通して、さまざまな人の悩みの解決にかかわってきました。ブログを通して、様々な心理学の事象に答えていければと思っています。 申し訳ございませんが、時間の関係上、多数の人からのコメントに返答できないので、コメントができないようになっています。よろしくお願いします。
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