アイデンティティークライシス うつ病の初期症状から先へ /アドラー心理学

・・・こんな困ったことがありました。

会社での仕事がうまくいかなくて、夜あまり眠れなくなりました。朝方目が覚めて、それから考え込んで、眠れなくなります。

落ち込みや劣等感が突然に起こったり、楽しいことが楽しいと感じられなくなりました。ご飯もあまり味がしなくておいしいと感じません。

特につらかったのは、「自分は価値が全くないんだ」という思いが次々と湧き起こってきて、落ち込みとイライラが思い出したように出てきました。

人と会うのも段々と億劫(おっくう)になって、家族の者にも八つ当たりするようになりました。
ただ、日常生活も段々と億劫(おっくう)になってきています。

どうすればよろしいでしょか?

この方の様子を見ると、早朝覚醒が見られ、食異常が起こっているのが分かります。いろいろな思いも出て来ています。

もしかしたら、うつ病の初期から少し進行を始めているかもしれませんね。

本日は、うつ病の初期症状から少し進行した場合をお話します。
また、アドラー心理学は、5大理論のうちの「全体論」をお話します。

アルツハイマー認知症のお話は本日お休みします。

〇本日のテーマ
以下の事を説明しながら、よく起こりそうな人間関係の2つの悩みについての解決法を載せておきます。

1.うつ病初期症状から進行した場合(初期・中期症状)
2.アドラー心理学 「全体論」について
※アルツハイマー認知症は本日お休みします。

〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。

〇読者への前置き
・毎日少しずつ人間関係を壊すことになる原因の心理学を書いています。
・また、心理学の紹介(今はアドラー心理学)の紹介をしています。
・本日は時間がないので、アルツハイマー型認知症のお話は休みです。

うつ病の初期症状から進行した場合(初期・中期症状)

「自分を否定する気持ち」が出て来るかが、うつ病を長期化する目安です。うつ病はいわば脳というエンジンの働きが悪くなってパワーを出せない状況です。

パワーを出せない時、人は様々な悪い思いがわき起こってきます。「自分は駄目だ」「何をやってもうまくいかない」などです。時には「死にたい」などと思います。

また、パワーが出せなく、仕事がうまくいかないと、周りから「まったく、駄目だな」とか評価されると、いよいよ自己否定に拍車を懸けます。

イライラなどの焦燥感も、「自分が価値ある存在でない」などと、自分の価値が抜け落ちていく感覚があったりします。

自分が価値がなく、周りに迷惑を懸けてしまうとの思いから、罪悪感も出てきます。

この否定的な思いや、罪悪感が進行を早めたり、回復を遅らせたりします
自分の否定的な思いが起こった場合、その思いは本当のことでないの認識が大切です。

誰でも似たり寄ったり、他人に迷惑を懸けている存在であるし、価値があると思う時もあるし、価値がないと思う時もあります。人間の評価は一定でありません。

ただ、うつ病に懸かってからそのような思いを持つのは容易ではありません。普段から否定的な思いを消し、肯定的な思いになれる何かを持つとよいでしょう。言葉でもいいし、良い思い出でも構いません。

うつ病にかかる前から、無価値感と折り合いをつける認識を持つのが大切です。
コンピューターのOSなどが壊れた時、起動デスクを用意しておくと、壊れた状況から回復でき、対処ができます。

我々も普段から、自分の無価値を思い知らされたて、心が折れた時の起動デスク(回復する言葉)を用意しておくと良いでしょう。

心が回復する「哲学の言葉」「禅語」のサイトをご紹介します。ご参考に(もちろん無料です):cocoreotaka(@Takachio6)さん / Twitter

とにかく、自己否定を起こさない(発展させない)ことが進行を緩めるのに大切です。

ぼんやりとした様子が多くなり、日常生活が困難になってくると、初期から中期に入ってきています。注意が必要です。

憤怒(激怒)、食欲や興味の消失、激しく気分が変る、死にたくなる、極度の罪悪感(自分が悪いんだ)などが現れてきます。

アドラー心理学 「全体論」

次のような悩みがありました・・・

高校の女性教諭です。私のクラスの男の子なのですが、少し遅刻が多い生徒がいます。。遅刻には理由があって、「バスに乗り遅れた」「ついうっかりと時間を過ごしていた」「遅刻するつもりはなかった」と言います。

私がそのたびに叱ると、「人間誰で間違いはあるだろう?」「完璧な人間なんていない。ついうっかりとミスをすることもあるでしょう?」「先生だって、うっかりとミスをすることがあるでしょう?」と口答えをしてきます。

確かに完璧な人間もいないし、私(教師)もミスをします。このついうっかりと無意識でやってしまうことをどのように考えれば良いのでしょうか?

まず、考え方を変えましょう。

フロイトは、自我と反対の働きをするものとして無意識を捉えました
「〇〇を我慢して、努力をして、△△を達成しよう」ということが、無意識のなかに「○〇をしたい」との思いを押しのけて(抑圧し)ます。例えば「お菓子を沢山食べたいが、我慢して、ダイエットを達成しよう」と思います。

その場合、無意識の中に「お菓子をいっぱい杯食べたい」との思いが押しやられます。そんな思いを持っているとダイエット中は、苦しいですね。無意識に入れて思わないほうがいいのです。「ダイエットを達成するんだ」との思いだけを意識に強く持って、人はダイエットを達成しようとします。しかし、無意識には「お菓子食べたい」と思いがいつもありますが、本人は無意識においやったので、普段は意識しません。
いわば、意識と無意識が反対の立場をとっているのが分かります。
これがフロイトの考えです。しかし、アドラーは、人の心には矛盾がなく、「意識も無意識も全部合わせて自分」と考えます。例えば、「酒を止めようと思っていたのに、ついつい酒を飲み過ぎてしまって、具合悪い」という場合、フロイトの場合、意識は「酒をやめようと思っていた」、無意識は「酒を飲みたい」と思っています。しかし、アドラーは、「酒をやめたいし、止めたくない」という行動が意識と無意識の行動であり、無意識の「飲みたい」を、意識が「ついつい飲んだ」と補足しているとしました。意識と無意識はグルになって、酒を飲む行動をとっているのです上の女性教師の担当の生徒が、ついつい遅刻したのは、「遅刻したい」無意識を、意識が遅刻させて補足してしまったのです。何も矛盾はありません。教師が生徒に「遅刻してしまったのは事実だし、言い訳はなしね」、「ついついだろうが、遅刻は遅刻だね。矛盾は何もないよ」くらいに言えば良いでしょう。アドラーの難しい理論は隠して、「矛盾がない」ことを言えばいいのではないでしょうか。怒る時に理論をいうと効果は半減します。

なんだ当たり前と思うかもしれませんが、ついついという言い訳は、バッサリと斬ることができます。

アドラーは、意識・無意識のほかに、「肉体・精神」や「理性・感情」も反するものでなく、補うものとします。

ターボん について

博士(心理学)、公認心理士、臨床心理士 カウンセリングを通して、さまざまな人の悩みの解決にかかわってきました。ブログを通して、様々な心理学の事象に答えていければと思っています。 申し訳ございませんが、時間の関係上、多数の人からのコメントに返答できないので、コメントができないようになっています。よろしくお願いします。
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