人間関係に疲れた時31 今日の2つの悩み                             /うつ病 ストレス悪化(配偶者の死  を例に) /アドラー心理学

前回までは、うつ病の発症から回復までを述べました。どんな病気もそうですが、発見、治療(援助)が遅れた場合は、こじらせて治りにくくなります。

うつ病も重くなると再発を繰り返して、一生うつ病と付き合って生きて行くことになります。早期発見を心がけることが大切です。

本日はストレスとうつ病の関係についてです。ストレスが大きすぎて、自分の許容量を超えるとうつを発症しやすくなります。

アドラー心理学は「怒りの捏造(ねつぞう)」です。

〇本日のテーマ 以下の事を説明しながら、よく起こりそうな人間関係の2つの悩みについての解決法を載せておきます。

1.うつ病  ストレスによる悪化
2.アドラー心理学 「怒りの捏造」について

〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。

〇読者への前置き
・毎日少しずつ人間関係を壊すことになる原因の心理学を書いています。
・また、心理学の紹介(今はアドラー心理学)の紹介をしています。

うつ病 ストレスによる悪化(配偶者の死  を例に)

こんなつらいことがありました・・・

20年連れ添った夫に先立たれました。夫はまだ、45歳で、あまりに早すぎる死でした。夫は心臓病でなくなりました。

亡くなる一月前くらいから時々、「奥歯が痛いので歯医者に行こう」と言っていました。私もずっと歯医者に行っていないので、夫に虫歯ができたかなあと思っていました。

今考えると、これは狭心症独特の放散痛(ほうさんつう)と呼ばれるもので、狭心症の症状だとは私は全く知りませんでした。

歯の痛みは、しばらく経つと落ち着いて、仕事が忙しいので放っておいた感じです。
あと、肩が痛いとか、背中が痛いとか言っていましたが、肩が凝ったと思って、こちらも放っておきました。これらも放散痛です。

そんな中、会社で倒れたとの連絡を受け、会社員で応急措置をする人がいなく、病院に運ばれた時は、既に心肺停止状態になっていました。

当初、夫の死を受け止めることができずに、体調も不調で、体温が上がらず、血糖値や血圧が低下してパニクってしまうこともありました。悲しみに暮れる日々を送っていました。

そのうちに、これではいけない。こんな状況では亡き夫も悲しんでいると思い、自分を奮い立たせようとしました。頑張ろう、運命に負けないと思い歯を食いしばりました。

しかし、頑張れば頑張るほど、疲れてしまって、段々と精神的に追い詰められると同時に、気持ちが落ち込んでいきました。夫の後を追うことも頭で考えてしまいます。


アメリカのホームズという人は、日常生活の出来事(ライフイベント)の中で、相対的なストレス度を述べています。

1 配偶者の死    相対的ストレス度100
2 離婚       相対的ストレス度73

5 親族の死     相対的ストレス度63
6 自分のケガ・病気 相対ストレス度53
7 結婚       相対的ストレス度50
8 解雇失業     相対的ストレス度47
9 経済状況の大きな変化 相対的ストレス38  

これを見ると、妻や夫の死に遭遇することは、ストレスの中の最高値を示すと思われます。人間はストレスを受けると、次の反応を起こします。

① パニック期(警告反応期)
外からのショックに対して、ストレス状態から立ち直ろうと、いろいろな緊急的な反応を起こします。血糖値、体温や血圧が下がり、筋肉緊張や神経系の活動が抑えられます。その後、徐々に適応に反応し、血糖値等、筋肉緊張等ももとに戻ります。
② ハッスル期(抵抗期)
ストレスの適応ができる時期です。ストレスに打ち勝とうとして、内分泌系や神経系、抵抗系などの働き、抵抗力が高まります。
③ うつ(状態)に陥る(疲弊期)
ストレスが長くなり、ストレスに打ち勝つことができず、徐々に抵抗力が落ちていき、心身ともに追い詰められて、うつ(状態)に陥ることがあります。配偶者の死のように、ストレスの度合いが高い場合は、強いパニックと、強く立ち直ろうとすることが続き、うつに陥る可能性が高くなります。

この①から③の道筋を頭に描きながら、うつに陥ることを回避しなければなりません。

なお、以前話しましたが、「まじめで几帳面の人」「内向的で大人しい人」さらには、非常に活動的で、競争心が強い「タイプA」の人はストレスを感じず、無理(ハッスル)して、うつ状態になることがあります。

アドラー心理学 「怒りの捏造」

こんなイヤな人がそばにいます・・・

私の友達(23歳)なのですが、いつもカッカとして、腹を立てやすい人がいます。腹を立てると、人につらく当たったり、口が悪くて、近くにいたくない気持ちになります。ただ、怒る時以外は、とても良い人です。

その友達の生い立ちは、父母が早くから離婚をして、母親の手ひとつで育てられました。

その母親も中学生のころ、病気でお亡くなりになられて、その後は施設で育ち、働きながら夜間高校を卒業しました。

私と友達は中小企業の電気修理会社の事務として、同じ時期に働きだしたのですが、机越しに話す友達は、とても良い人で、話していると「友達の寂しさが、私の心にやってくる感じ」がします。

ただ、ささいなことに怒りやすく、一度起こると止まらない感じです。

どの様に接すれば良いでしょうか?


アドラーは人間の行動にはさまざまな目的があることをのべました。

怒りは「相手を支配するため」とか、「主導権をするため」の意味がありました。

また、他に、自分の正義感(と言っても、自分の思い通りにしたいための)「正義感を発揮するため」の意味もあります。

相手をコントロールするために作られた怒りは、いわば「にせの感情」です。その「にせの感情」には、真の感情があるとされます。

真の感情を「一次感情」、にせの感情は「二次感情」と呼びます。

この友人が怒るのは、つらく当たり、周りをコントロールして、支配したいという行動が見られるので、この友達の二次感情は「怒り」の感情ですね。

では、「一次感情」は何でしょうか? 接していると「さびしさ」を感じるとか、「不安」「悲しみ」「傷つき」「心配」などを感じる時は、それを「一次感情」と考えて良いと思います。接すると心にやってくるので、この友達の二次感情は「寂しさ」ですね。

二次感情は、だいたい、接していると段々と分かってくるものです。

アドラーは一次感情が満たされない時に、二次感情が起こると指摘します。この一次感情に寄り添って、時に指摘をしてあげると、相手の心に伝わることがあります。

つまり、友人は「一次感情」の「寂しさ」が満たされない時は、「二次感情」の怒りを表すのですね。

「周りがあなたの気持ちに反応しないと腹が立つのね」(周りが友人の寂しい気持ちを分かってあげないと、腹をたてるのだね)という感じですね。

ただ、露骨に言うと、相手がへそを曲げることもあるので、何気なく言う工夫をするとか、言葉でなく態度を表しながら接することが大切になります。

ターボん について

博士(心理学)、公認心理士、臨床心理士 カウンセリングを通して、さまざまな人の悩みの解決にかかわってきました。ブログを通して、様々な心理学の事象に答えていければと思っています。 申し訳ございませんが、時間の関係上、多数の人からのコメントに返答できないので、コメントができないようになっています。よろしくお願いします。
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