相手のイヤな行動はどうして起こるのか?
前回、自分や他人を無価値なものにしようとする死の欲動は、親と愛情をやり取りする部分(装置)から出てくると述べました。
例えば、赤ちゃんが自分の唇で、母親の乳房に吸い付いている時、赤ん坊は唇に死の欲動が働き出す装置が作られます。
つまり、唇と使うことでミルクをのんで「生きたい」という生の欲動と、自分や他人を「無価値にしたい」という死の欲動が混在するのです。
ストレスを受けると、人は育ち切ってない部分に戻ってくる
例えば、赤ちゃんがお腹が空いてミルクを欲しいと思っているのに、母親がミルクをくれない時に、赤ちゃんは腹を立てます。
それがたびたび重なっていくと、唇を通しての怒りの他に、唇に「物足りない」「ほしい」という気持ちが残ります。
人間はストレスを受けると、「自分の育ち切れなかった部分にもどる」と言われ、これを固着(こちゃく)と呼ばれています。
自分の果たされなかった思いとか願望と怒りが、そこに固まってへばりついてしまうという感じですね。
ある大人が、人間関係で面白くないことがあると、唇に固着がある人は、酒を浴びるように飲んだり、煙草を大量に吸って、唇の「物足りない」「ほしい」という思いを補おうとします(無論全ての人がそうではありません)。
場合によっては怒りを伴い、酒を飲みながら、相手を攻撃したりします。
つまり、唇に固着が起こっていて、ストレスを受けるとそこに戻るのですね。
これは幼児期早期の事なので、無意識に行われます。
相手をだます甘い言葉も唇が原因で起こることがある
甘い言葉をかけて、女性にプロポーズをして、一緒になったとたんに暴力を働く男の人が時々います。
この甘い言葉というのは、唇を通ってくるので、赤ん坊の甘いミルクと同じです。いわゆる唇の固着から起こることがあります(無論そうでない場合もあります)。
甘い言葉の裏に「死の欲動」がありますので、怒りを伴った攻撃・暴力に変換することがあります。
次回に続きます。
禅語もどうぞ→cocoreotaka(@Takachio6)さん / Twitter