人間関係の心理学NO.13 唇による心の傷3

バラバラの世界を一つにする赤ちゃんの唇

赤ちゃんがお母さん(または、それに代わる人)との愛情のやり取りは、唇でした。

また、唇での愛情のやり取りは、前期と後期にわかれるのでした。

前期唇期(くちびるき)での、愛情のやり取りは、心を統一するのに必要でした。

前期唇期は、お母さんが何人もいる不思議な世界

生まれたての赤ちゃんは、自分のいる世界を認識できません。赤ちゃんは、暖かく居心地の良いお母さんのお腹の中からいきなり出されます。

お腹からいきなり出された赤ちゃんは、自分を取り巻く世界を認識しないといけません。まず、お母さんの存在はわかります。あとは分かりません。

お父さんの声はお腹の中で聞いていたので、少し分かりますが、全くの知らない世界。昼も夜も分かりません。なので、夜目覚めて夜泣きをします。夜泣きをされると、親は寝ていられませんね。

首の座るころ(3カ月ほど)で、昼夜を覚えて(そのような説もあります)夜泣きが収まります。親もやっと十分な睡眠をとれるようになります。

そんな赤ちゃんにとって、物事一つ一つに意味があり、重要になります。

優しくしてくれるお母さんの手、顔、唇、鼻など、一つひとつが大切なのです。

お母さんの態度も重要になります。優しいお母さん、怒って自分を叱るお母さん。一つ一つの態度も独立して重要です。

赤ちゃんは、一つ一つを認識するので、統一されたお母さんがわかりません。

赤ちゃんの心の中には、同じお母さんなのですが、優しい「良いお母さん」と「悪いお母さん」がいます。

これが、「分裂した状態」です。つまり、一人のお母さんなのに、「良い」「悪い」が分裂しているのですね。

この前期唇期に固着が起こる人がいます。固着はストレスを受けると、その育ち切れなかった時期の心の状態にもどってくるのでしたね。

この時期に固着があると、大人になって、ストレスを受けると「良い」「悪い」で世界を分けてしまって、中間がない心境になります。

あの人は「良い人」この人は「悪い人」とはっきりと区分けをします。まるで、ウルトラマンのテレビ番組で、良いウルトラマンと悪い怪獣しかでないと同様になります。

この「良い」「悪い」の区分けは、環境をコントロールして、周りを支配するのにつかわれます。戦争をした時に「良い」「悪い」と分けて、相手を支配するのと同じですね。

次回に続きます。

            質問コーナー

Q:友人なんですが、いつも彼に叩かれています。すぐに別れるようにアドバイスをしているのですが、上手くいきません。どうしたら良いでしょうか?

A:まず、暴力をふるう彼ですが、前期唇期(妄想・分裂ポジション)に固着があるかも知れません。その場合、彼女を「悪い」として、自分(彼)を「良い」として、彼女を支配しているかも知れません(全ての人がそうではありません。注意)。

甘い言葉を吐いて、彼女を喜ばせ(いったん彼女を「良い」にして)、次に暴力を振るう場合は、この前期唇期の可能性があります。あめ玉をなめるように、甘い言葉を口のなかでころがすのですね。

お互いが共生(きょうせい:後に解説します)に陥っているので、抜け出さなくなっている可能性があります。ともかく、彼女の身の安全を図ることが先決になります。各種の相談センターなどに連絡をして、ネットワークを張りながら、彼女の身の安全を図ってください。警察にも相談するとよいです。 

ターボん について

博士(心理学)、公認心理士、臨床心理士 カウンセリングを通して、さまざまな人の悩みの解決にかかわってきました。ブログを通して、様々な心理学の事象に答えていければと思っています。 申し訳ございませんが、時間の関係上、多数の人からのコメントに返答できないので、コメントができないようになっています。よろしくお願いします。
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