人間関係の心理学NO.14 唇による心の傷4

良い・悪いを分けて、中間がない世界

 

前回の話は、赤ちゃんは世界を一つのものとして認識できなことを説明しました。

赤ちゃんはお母さんの顔を見る時も、お母さんの目、口、鼻とバラバラに認識します。

テレビのヒーローもののように「良い」「悪い」が分裂

人はよく考えると、「良い」と「悪い」が混じり合ったものです。よほどの聖人でない限り、良いことをしたり、たまに(軽い)悪さをしたり、それが人間です。

つまり、人間の心や行動は「良い」「悪い」ではっきりと区分けができない時があったりします。

また、「嘘も方便(うそもほうべん)」と言うように、誰かを助けたり、ためになることを教えるために嘘をつくこともあるでしょう。

しかし、赤ちゃんは「良い」「悪い」が一人の人間に混ざり合っていることが分かりません。

ミルクを欲しい時にミルクをくれるお母さんが「良いお母さん」で、疲れ果てて寝ていてミルクをくれないお母さんは「悪いお母さん」です。

同じお母さんなのに「良いお母さん」と「悪いお母さん」が分裂しているのですね。

 

人間は成長すると「人には良い時も悪い時もある」ということが分かります。しかし、この前期唇期(くちびるき)のまま成長すると、これが分からずに大人になります。

よくパワハラやモラハラで、攻撃する人が「お前。全くダメなやつだな」とか、「俺の言うこと(正しいこと)が分からないのか」といった言葉を口にします。

良い悪いがはっきりと分裂していますね。まるで、〇〇トラマンとか、〇〇ライダーとか言ったテレビのヒーローもののようです。絶対良い〇〇トラマンと、絶対悪い怪獣が分裂しています。

自分が良い、相手が悪いとなると、そこに強い怒りが発生することがあります。まるで、自分がヒーローになって、相手をやっつけるようです。パラハラ・モラハラに強い怒りが発生する理由がここにあります。

この「良い悪いが分裂した状態」が、「良いも悪いも統一されていく状態」に入っていくのが次の後期唇期(抑うつポジション)です。

             相談コーナー

Q:職場で理由もなく、自分は「悪い人間」にさせられて、上司から村八分の状態にされます。どのようにしたら良いでしょうか?

A:その上司が周りをコントロールするように良い悪いと周りを分けていく場合は、前期唇期(妄想・分裂ポジション)の時に問題があったと思われます。

言葉を発する以前に身に付けた心の問題であるので、言葉で対抗しても相手には届くことは滅多にありません。そんなことをすると、余計にこちらが悪者にされる可能性があります。

村八分の状態を作るのは、明らかにパワハラの状態なので、まず、証拠となる記録を取りましょう。場合によっては、ボイスレコーダーを使うのも良いでしょう。

その上で、弁護士などに相談をするのがベストです。事前の弁護士のアドバイスの元、証拠を集めるのも良いでしょう。

ターボん について

博士(心理学)、公認心理士、臨床心理士 カウンセリングを通して、さまざまな人の悩みの解決にかかわってきました。ブログを通して、様々な心理学の事象に答えていければと思っています。 申し訳ございませんが、時間の関係上、多数の人からのコメントに返答できないので、コメントができないようになっています。よろしくお願いします。
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