前頭側頭型認知症

昨日は高齢者のコミュニケーションの話をしました

高齢者の方のことを知り、信頼関係を結ぶことが、何より大切なことです。

そのため、話題を考えながら、相手と、打ち解けるように話を進めることが大切になります。

話す速さ、声の高さ低さなどを工夫をしながら、話題がない時は、天気の話や高齢者の方の出身地の話題なども聞くと話が円滑にいくこともあります。

本日は、前頭側頭方認知症の話です。

〇本日のテーマ 前頭側頭型認知症

〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。

読者への前置き
精神医学と心理学の二方面から人間関係を困難にする状況をゆっくり解説します。 

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症とは、アルツハイマー型認知症血管性認知症レビー小体型認知症とともに、4大認知症の一つで、脳の前頭葉・側頭葉前方に萎縮が見られます。

人格変化や行動障害、運動障害などの特徴的な症状を示し、難病指定をうけています。

神経細胞の減少などを起こして、脳が委縮して発症します。

そのなかで、「ピック球」と呼ばれるタンパク質が変性した神経細胞の一種が見られる症状。「ピック病」と呼びます。

ピック病

ピック病は、前頭側頭型認知症の約80%にあたるとされています。

約40歳から60代で発症し、患者本人が病気を認識しないでことが多いです。

前頭側頭型認知症 症状

前頭側頭型認知症の症状は個人差がありますが、以下の症状が出たら注意したほうが良いでしょう。

前頭側頭型認知症 人格変化

前頭側頭型認知症に陥ると、人格や行動に問題が生じます。

たとえば「万引き」などの反社会的行為をくりかえす。「暴言・暴力」を繰り返すなどです。

前頭側頭型認知症に陥ると「遠慮がなくなる」行動が増えて、相手や周囲に不快な行動をします。

このことから病気が進行するに従い、人が寄り付かなくなる場合があります。

行動の変化

同じ行動を繰り返すことが多くなります。例えば、同じ場所に毎日出かける、同じ料理を毎日たべるなどです。

また、洋服など、身だしなみに気を使わなくなります。家族など、周りのサポートが必要になります。

前頭側頭型認知症に陥った場合、平均寿命が発症してから6年から9年と言われています。

発症当初は、人格変化や異常行動が目立ちます。その後、無気力・無関心の状態になります。

進行により、人格変化や異常行動が弱まることがあります。これは、症状が良くなったのではなく、進行した結果です。

また前頭側頭型認知症は、パーキンソン症状(手の震え、筋肉が強張ること)が見られることがあります。

運動の障害も現れることがあります。

誤嚥(ごえん)、呼吸筋麻痺等の生命が危うくなる状態になることがあります(個人差があり、そうならない人もいます)。

前頭側頭型認知症 原因

前頭側頭型認知症の原因は、「タウタンパク」や「TDP-43」のたんぱく質の性質が変性して、蓄積されることにあるとされます。

それにより、前頭葉や側頭葉の萎縮が起こるとされますが、詳しい過程はまだ、不明です。

次の点に留意してください(初期症状から現れるもの)

異常行動や認知機能障害、日常生活に支障があるか
不適切な行動(礼儀に欠ける)、衝動的な行動があるか
自分の周りの事に関心が持てず・無気力か
共感ができず、感情を移入できないか
常同的に同じことを繰りかえすか
過食をしたり、飲酒などの食事の変化がないか
物事を計画し、順序立てて行うことができるか

画像検査


まず、専門医と画像検査や各種の高度の検査に対応する病院を探すことが大切です

CTやMRI検査

CTやMRIなどから前頭葉や側頭葉の前のほうに萎縮が見られることがあります。
(アルツハイマーは海馬に萎縮が見られます)

脳血流シンチグラフィー・PET

前頭側頭型認知症が進行していない場合、「脳血流シンチグラフィー」で血流の低下や、PETと呼ばれる検査で「身体の代謝」の低下があるかどうかを観ます。

血流や代謝の流れに低下を認めると、前頭側頭型認知症と疑われることがあります。

前頭側頭型認知症の治療法

前頭側頭型認知症に対する有効な治療法がないのが実情です。
そのため症状を緩和させる方法が施されます。

抗精神病薬の投与、さらに環境を整え、トラブルが起こるのを避けるのも、有効な方法です。

家族が介護疲れになる前に対処をしておくことが大切です。
具体的なケース1はこちらケース2はこちら

行動に合わせた対応

前頭側頭型認知症の人が常同行動があり、スケジュール通りに行かないと、激怒を表すことや、パニックを引き起こすことがあります。

その常同行動を合わせて、患者の意思を考えた予定を立てるのがよろしいでしょう。

情報を分かち合う

前頭側頭型認知症を発症したら、家族や周りのと情報を分かち合ってください。

暴力や暴言、万引きが起こる可能性があります。その時に慌てないようにすることが大切です。

事前に知ることで回避することができます。心構えもできます。

また、準備として、行き先の店、友人などには、本人の住所、連絡先がわかるように工夫することが大切です。

施設を利用する

暴力や妄言、さらに万引きなどと行動が介護者の許可範囲を超えてしまった場合は、施設の利用も視野にいれましよう。

認知症者の方と同様に介護の方の健康も考えなければいけません。

認知症ケアに特化した施設などを探してみましよう。もし、探さないときは、施設に詳しい業者に頼むのも良いでしょう。

また、資金の面親族の相談など十分に計画や話し合うことも必要です。

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ターボん について

博士(心理学)、公認心理士、臨床心理士 カウンセリングを通して、さまざまな人の悩みの解決にかかわってきました。ブログを通して、様々な心理学の事象に答えていければと思っています。 申し訳ございませんが、時間の関係上、多数の人からのコメントに返答できないので、コメントができないようになっています。よろしくお願いします。
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