強迫性障害とは 3 /ポジティブシンキング  「信頼できるかどうかの判断」

信じられない話ですが、ある著名な人が若い頃、道を歩いていて、通りすがりの人に、「お金を返さなければならない」という強迫観念に駆られて、お金を返そうとします。

むろん、通りすがりの人はびっくりして「会うのも初めで貸したこともない」ので、お金を受け取りません。

著名な人は、「お金を返さないと体にネズミが入ってきて、体の中を食べられる」とさらに強迫観念に駆られて、お金を返そうとします。

この人は、精神分析の創始者のフロイトに「ねずみ男の事例」を読んで、自分が強迫神経症であることを知り、以後、心理学の道を歩みます。

本日はその強迫神経症の「不完全恐怖」「疫病恐怖」を解説します。また、強迫症の人と家族について、お話します。

ポジティブシンキングは、「信頼するかどうか迷う時」です。

〇本日のテーマ       
1.強迫性障害とは 不完全恐怖・疫病恐怖、強迫性障害と家族
2.ポジティブシンキング  「信頼できるかどうかの判断」

〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。

〇読者への前置き
・精神医学と心理学の二方面から人間関係を困難にする状況をゆっくり解説します。
・心理学は、ポジティブシンキング(プラス思考)の方法を述べています。

青い下線は、過去の記事にリンクします。詳しく知りたい人はクイックしてください。

強迫性障害とは 不完全恐怖・疫病恐怖、強迫性障害と家族

昨日は、「縁起強迫」「強迫性緩慢」を述べました。本日は、「不完全恐怖」「疫病恐怖を述べます。

【不完全恐怖】
不完全恐怖の人は、自分の決めたやり方、秩序が100%でないとイライラを感じたりして、何度もやり直したり、確認を繰り返したりします。

お風呂に入る時は、体を洗う順番通りに洗い、場合によっては体を擦る回数を決めたりします。また、蛇口をひねる度合い、洗剤を使う度合いを決めて、その通りにやります。
少しでも、その通りにやらないと、もう一度初めからやり直しをすることがあります。

例えば、シリーズものの漫画の本を20巻買う時、2セット買います。1セットは読むためのもの。もう一セットは「万が一、なくしたり汚したりしたときの予備」とします。

不完全恐怖の人の会話も場合によって、何度も会話を確認する場合があります。
具体的には、「今日は雨が降りそうですね?」とある人が尋ねると、「はい。降りそうです」と答えてから、「私、いま『降りそうですね』と言いましたね?」と聞き返します。

確認が何度も繰り返されるので、会話や行動が進みません。
また、調べものをしていると、一つのことが正しいかを確認するために、そのことを調べ、さらにその調べたことを確認するために、また違うことを調べることをします。

【疫病恐怖】

疫病恐怖はその名の通り、自分が疫病にかかるのではないかとの不安に駆られます。
ただ、特徴的なことは、その疫病はすぐに死に至る病ではなくて、「他人からうつって、長くかかって、ずっと持ち続けている慢性的な病気であること」です。

例えば、ガンはうつらないし、死ぬ確立が高いので、あまり対象とならないですし、インフルエンザなども他人からうつりますが、流行が終われば忘れ去られます。
なので、これらの病気は、あまり対象になりません(むろん、なる人もいます)。

例えば赤痢(せきり)、最近増えている梅毒、B型肝炎、寄生虫などが対象となります。
汚れたものを触ると、そこから感染してしまうのではないかと、何度も手を洗ったり、着ている服まで徹底して洗濯をします。

食堂やレストランで、多くの人が使う食器も恐怖の対象になったりします。
また、血液に対する恐怖は大きく、絆創膏(ばんそうこう)に着いた血液、さらに症状が進むと、「赤い色」を見ただけで恐怖を感じます。

赤いケチャップなども恐れます。また、公衆トイレの便器触れること、水はねにより感染するなど恐れも起こります。

疫病恐怖は、「疫病にかかるのではないか」という被害恐怖と、「疫病をうつすのではないか」の加害恐怖に分かれ、どちらに当てはまるかを知ることが大切です。

【強迫性障害と家族】
強迫性障害と家族の関係で、特に注意が必要なことは、家族の「代理行為」と「共依存」に関してです。これがあると家族が巻き込まれる上に、

1.強迫性障害行為の代理行為
確認行為を当初は「おかしなことをしている」とか思っていても、本人が混乱をしているのを見て、ついつい確認行為を手伝ったり(代理行為)、確認ができやすくしたりします。

このような強迫行為の代理行為などをしていると、本人の強迫性障害が重くなっていきます。また、巻き込まれが強くなって、家族が確認行為に時間を取られたりするようになっていきます。

2.共依存に陥ることを防止
家族が強迫性障害を代理をすると、強迫性障害を有している人の症状がさらに重くなります。そうすると、さらに家族を代理させるようになっていきます。すると、さらに症状がおもくなります。

このような負のスパイラルを「共依存」といいます。
一度、共依存にはまってしまうと、なかなか抜けきることができません。

「〇〇をなくした? 確認して」と、強迫性障害の人が、勤め先から電話を掛けることもあります。「ハンドソープ新しいのある?」と尋ねることもあります。様々な形をとるので注意をしてください。

一度共依存にはまった場合、なかなか抜け出るのは容易ではありません。時に突き放すことも必要になります。

ポジティブシンキング 「信頼できるかどうかの判断」

初対面の人や、あまりよく分からない人が自分に親しげに話しかけたりします。
自分としては、この人を信頼してよいのだろうか?
ついつい考えてしまう時があります。

100%とも言えませんが、その人が信頼に値するかどうか迷う時の判断の材料がいくつかあります。

いろいろな言い方がありますが、まず、その人と2人で旅に出かけて、安心して旅を続けられるかどうかです。少し心配なら、少し信頼がなく、全くダメなときは、自分は信頼をしていないことが多いです。

旅をするなど、恥ずかしいと思うかもしれません。恥ずかしいとかの思いを除いて、客観的に旅ができるかを考えると良いかもしれません。

その上で、その人の次の点を観ると良いでしょう。

● こちらに対して、気遣いをしてくれることがあるか。
● その人の生き方が筋の通っている生き方をしているか。
● その人の意見が根拠(証拠)がある生き方か。
● 時間や、お金の使い方など、ルールを守っているか。
● 自分の失敗を素直に認めて、謝罪ができるか。
● 最後に責任を取れるか。
● 「自分の利益のため」が強すぎないか。

これは一つの道標にしかすぎません。これを頭に入れた上で、最後は、自分で判断をする必要があります。

 

 

 

 

 

 

ターボん について

博士(心理学)、公認心理士、臨床心理士 カウンセリングを通して、さまざまな人の悩みの解決にかかわってきました。ブログを通して、様々な心理学の事象に答えていければと思っています。 申し訳ございませんが、時間の関係上、多数の人からのコメントに返答できないので、コメントができないようになっています。よろしくお願いします。
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