レビー小体型認知症 原因と症状

昨日は血管性認知症の「まだら症状」についてのべました。
今日は少し話を進めて、「レビー小体型認知症」の話をします。

レビー小体型認知症は、認知症全体の10%から30%を占めるとされています。
アルツハイマー型認知症の次に多い認知症です。

まず、正しい知識をしっかりと持って、対処をすることが大切です。
原因と症状を把握して、進行を防ぐ生活を心がけてください。

〇本日のテーマ  
 
レビー小体型認知症 原因と症状

〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。

〇読者への前置き
・精神医学と心理学の二方面から人間関係を困難にする状況をゆっくり解説します

レビー小体型認知症 原因

レビー小体認知症は、脳神経細胞に「レビー小体」と言う異常な構造物ができることによります。
アルツハイマー型認知症の型と同じ、神経変性疾患です。

レビー小体を構成するα(アルファ)シヌクレインは、神経細胞に対する毒性があるので、レビー小体が増えると、神経細胞が死滅をします。

認知機能や自律神経の司る神経細胞の障害が生ずることになります。

100年前レビー小体認知症は、パーキンソン患者の脳幹から見つかったために、パーキンソン病の特徴と考えられていました。

ところが60年ほど前、認知症患者からもレビー小体が見つかり、アルツハイマー型認知症と違う特徴があることがわかりました。

現在、パーキンソン病もレビー小体型認知症も一連の病気とされています。
すなわち、脳幹にレビー小体が出現すると、パーキンソン病ですが、大脳皮質に現れるとレビー小体認知症となります。

脳幹にレビー小体が現れ、大脳皮質に広がっていくと、パーキンソン病に加えて認知症の症状が現れます。これが、「認知症を伴うパーキンソン病」です。

レビー小体型認知症の症状(中核症状)

レビー小体認知症には、「中核症状」と「支持的症状」があります。

中核症状は「幻視」「パーキンソニズム」「認知機能の変動」「レム睡眠時行動障害」が見られます。

見えないはずのものが見える(幻視)

レビー小体は、後頭葉や頭頂葉が委縮することが見られます。
特に視覚を司る脳の部位は後頭葉なので、ここが委縮すると、そこにないはずのものが見えたりします。

見えるのは人や生き物で、「子供が坐っている」「虫がはい回る」などが見えたりします。
また、見違いも起こって、壁のシミが人間や動物に見えたりすることがあります。

パーキンソン症状が現れる(パーキンソニズム)

振戦(しんせん:手足のふるえ)、固縮(こうしゅく:筋肉のこわばり)が起こってきます。

体が硬くなって、動作が鈍くなったりします。また、前かがみで小刻みに歩くことが起こるため、転倒して骨折の危険がおおくります。

手足の震えが止まらなかったり、顔が無症状になったりする(仮面のような症状)もパーキンソン症状の一種とされます。

レム睡眠時行動障害

睡眠中なのに、立ち上がったり、寝言を言ったり、激しく体を動かしたりします。
脳が活動して、体の筋肉が緩んでいる状況の時(夢を見ている時)に現れます。

ただ、筋肉のゆるみが何らかの形で現れないと(筋肉が緊張した状態が続くと)、レム睡眠時行動障害が現れます。

場合によっては、本人がケガをしたり、周りの人にケガをさせたりするので注意が必要です。

認知機能の変動

認知機能が変ってくることです。

つまり、時間や日によって、注意力や覚醒のレベルにはっきりとした違いが見られます。

レビー小体認知症の支持的症状

レビー小体認知症の支持的症状には、「失神」「抑うつ」「転倒の繰り返し」「幻覚・妄想」「自律神経の異常」が見られます。

「失神」「抑うつ」「繰り返す転倒」

「失神」とは、立ち上がったりすると、めまいや失神が起こることです。

また、「抑うつ」とは、気持ちが落ち込んで、ふさぎ込むことで、ぼんやりと過ごしたりします。この「抑うつ」はレビー小体認知症に陥っている人の50%近くに見られます。

「繰り返す転倒」は、頭頂葉が侵され、体などが強張って思い通りに動かないことから、よく転ぶことが挙げられます。ただ、失神によりめまいが起こり、それにより転倒が見られます。

「幻覚・妄想」「自律神経の異常

後頭葉がレビー小体に侵され、脳神経細胞が死滅することから、幻覚などが現れてきます。

目の前の状況を見当違いを侵し、さらに妄想へと発展しやすい状況になります。

「自律神経の異常」に関しては、病変が脳以外に発生し、自律神経を侵すと発症します。

これにより、自律神経失調症になり、「便秘」「不眠」「不安・抑うつ」「低血圧」等がおこります(低血圧からの立ちくらみ、めまいが起こります)。

不眠は夜昼問わずに眠れなくなり、慢性的な睡眠不足になります。

レビー小体認知症の判断として

中核症状が2つあることが目安

上の中核症状が2つある場合は、レビー小体認知症の可能性が高いことになります。

また、中核症状が1つの場合でも、検査(例えば「DATスキャン」と呼ばれるもの)で、疑いがある場合もレビー小体認知症の可能性が高いです。

また、支持的症状がある場合でも、それから、レビー小体認知症の診断の糸口になる場合があります。

ターボん について

博士(心理学)、公認心理士、臨床心理士 カウンセリングを通して、さまざまな人の悩みの解決にかかわってきました。ブログを通して、様々な心理学の事象に答えていければと思っています。 申し訳ございませんが、時間の関係上、多数の人からのコメントに返答できないので、コメントができないようになっています。よろしくお願いします。
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