認知症者の一人暮らしの見直し

認知症の親との同居はお互いに気を遣うことが多いです。

家族に今までにない負担がかかったり、自分のことが思い通りいできないことが起こったりします。

大切なことは、認知症で一番つらい目をうけているのは、認知症にかかった本人であることを忘れてはなりません。

家族の対応によって、親の自尊心が傷付いたり、いよいよ引きこもりを招くこともあります。

本日は親との同居について、述べて行きたいと思います。

〇本日のテーマ  
 
認知症 親などの1人暮らしを見直す

記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。

読者への前置き
・精神医学と心理学の二方面から人間関係を困難にする状況をゆっくり解説します。

親の一人暮らしを見直す時

介護者が見直しをする必要

認知症が進んでいくと、過去の何十年のことも忘れてしまい、見当識障害等々、いろいろな弊害が起こってきます。

特に、徘徊による迷子、事故、出火の危険が増してきます。言葉による意思疎通が場合によりできなくなることもあります。

状況を見ながら、本人の生活の設計を見直していく必要があります。

設計変更の目安は、「本人の身の危険」と「他人に迷惑がかかる」かで判断されるのが一般的です。具体的には、

●本人の身の危険について
栄養不足や、運動不足が重なって、本人が健康な状態を保てそうにない時は気を付ける必要があります。

また、徘徊などをして行方不明や、迷子になる可能性があること。引きこもりの状況が続いて、周りの人とコミュニケーションを取らなくなる時。

また、出火の危険等も考えなければなりません。

●他人の迷惑になることについて
ゴミや、ガラクタを集めて、家や家の周りがゴミ屋敷状態になる場合、また、大声を上げたり、怒りを露わにしたりする場合など

このような場合が起こり始めたら、家族会議を開いて、今後のことを急ぎ決めたほうが良いです。

もし、認知症の方と共に暮らすことになった場合は、介護の方が、認知症の方の一日を規則正しい状態に保つように心がけることが大切になってきます。

具体的には、決まった時間に起きて、ご飯を食べて、運動や散歩をして、昼ご飯、少し昼寝をして(あまり寝すぎないことが大切)、家の清掃などの手伝いをして、夕食、入浴、睡眠というリズムを作ってあげることです。

とくに、アルツハイマー型認知症は、昼間の行動を充実させると、夜の徘徊等の行動障害を防ぐことにつながります。

もし可能であれば、家の手伝いを

家族が認知症の方と一緒に住む場合が起こっても、家族の方が「認知症ゆえに家族の世話になる」という実感を持つのは時間がかかることです。

また、同様に、家族のほうも慣れて来るのに時間がかかります。

できれば、可能であれば、火や水を使わないで、手伝いができる家事などを「何気なく分担」をすることが大切になります。

体を使って作業をすることは、家族になじむ気持ちが生まれて来ます。

また、例えば庭の掃除や雑草取り、玄関の前の掃除など、危険が少ない所を選び、上手くできたら「ありがとうございます。きれいです」と自尊心をたたえることが大切です。

また、意外に大変なことは、面倒を看るのが好きだった人が、認知症になり、今度は面倒をみられる立場になると、「その状況を受け入れられないという気持ち」が働くことが多いようです。

人によっては、自分の存在価値がなくなってしまうまで考える人もいます。
最近の研究では、「もの取られ妄想」を起こしやすい人は、この「他人を面倒みることは得意だが、面倒を見られるのが不得意の人」であるという研究者もいます。

その場合は、小さな頼みごとをしたりして、「助かった」と声を懸けるのも良いでしょう。
その人の存在価値を認めて上げることが大切になってきます。

昔物語を聞く大切さ

認知症が進むと、若い頃、とても輝いていた時代へのいつの間にか、心や体が戻ることがみられます。

徘徊して、家族が手分けして探しに行くと、自分の勤めていた会社の前にいたとか、通勤の時に使っていた地下鉄の入り口にいたとか・・そんなことが起こります。

このような人は仕事の第一線で働いていたのですね。

そんな時、楽しく、昔の話を聞いてあげましょう。みんなで楽しく話を聞くと、認知症の方のプライドが保たれると同時に、認知症が進む予防にも成ります。

お茶とお菓子を用意して、楽しい昔の話や、輝いていた昔の話をみんなで聞きましょう。
聞くほうも楽しむことが大切です。

ターボん について

博士(心理学)、公認心理士、臨床心理士 カウンセリングを通して、さまざまな人の悩みの解決にかかわってきました。ブログを通して、様々な心理学の事象に答えていければと思っています。 申し訳ございませんが、時間の関係上、多数の人からのコメントに返答できないので、コメントができないようになっています。よろしくお願いします。
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