
昨日は血管性認知症の原因と症状についてお話ししました。
本日は「まだら」症状と予防についてお話します。
「まだら」症状とは、認知症の現れる状況が一定でなく、変化することをいいます。
血管性認知症は、意識を失い、突然に倒れたりする脳卒中や脳梗塞で引き起こされると思いがちですが、実は、小さな血管のつまりが原因で起こる場合が多いです。
意識を失わないので、いつの間にか進行していきます。
脳の血管の病気なので、脳の血管の健康を保つ食事や運動がメインになっていきます。
〇本日のテーマ 血管性認知症の「まだら症状」について
〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。
〇読者への前置き
・精神医学と心理学の二方面から人間関係を困難にする状況をゆっくり解説します。

血管性認知症 「まだら」について
血管性認知症は、「まだら認知症」と呼ばれることがあります。
症状が統一されていなく、かたよりがある現れ方をします。
「あらわれる症状にかたよりがある場合」と「症状に波がある場合」の2つがあります。
現れる症状に偏りがある場合
脳血管の障害により、ダメージを受けなかった脳の部位と、受けなかった部位があることから、失われる機能と失われないで温存される部位があります。
つまり能力の偏りが生まれることになります。
機能が保たれている脳の部位があるために、自分の状態を自覚して、そのまだら状態の苦しさを感ずることになります。
こうした状態から、イライラや怒り、さらに絶望感へと感情がかられることがあります。
そのために、周囲の人への暴力や暴言を行ったり、リハビリなどの自分の状態を改善する意欲をなくすことがあります。
症状に波がある場合
脳の血流などの影響で、短時間で症状の出現が大きく変動をすることがあります。
例えば、朝起きた直後は血流が低下することが多いので、認知症の症状が現れる場合が多いです。
また、入浴している時も血圧が下がるので、血流低下により認知症が現れます。
ぼんやり・意識がはっきりしているのを繰り返すことが起こります。
まだら症状の予防とリハビリテーション
予防といっても、症状が現われることを把握して、それに対応することになります。
症状が変る状況を記録する
症状の記録を付けて、「どんな時にどのように症状がかわるのだろうか?」と記録を付けることをお勧めします。
例えば、上記しましたが、お風呂に入った時に、認知症状が現れて、できていたことができなくなることや、食事の後に血圧が下降しているなどの記録しましょう。
認知症状が悪くなったら、安全で静かな場所を
記録を付けていて、大体の体の様子が分かってきたら、予(あらかじ)め、悪化する時を予想して、静かで安全な場所を提供し、環境整備を心がけましょう。
騒々しい所や、気を多く使うところだと、せん妄や暴言・暴力など、様々な弊害が現れて来る可能性があります。
けして無理をさせないで、本人が安心できる環境を作りましょう。
また、家族の方は、脳血管性認知症は、「まだら症状」が伴うことがあることをしっかりと認識して対応しましょう。
無理をさせずにリハビリは、本人のペースで
脳の機能が残っている部分の機能が失われないように、リハビリテーションを受けることが望ましいです。
また、失われた機能を他の脳の部分が補うこともあります。
ただ、無理強いをしてリハビリテーションを行うことは、まだら症状に苦しむ本人が、余計苦しむことになります。
上記した記録などを元に、状態が良いと思われる時に「励ます形」でリハビリテーションを行うことが大切になります。