
おじいちゃんやおばあちゃんの性格が何か変わってきた・・・そんな兆候があった場合、前頭側頭型認知症の可能性があります。
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉や側頭葉前方の萎縮が見られます。
神経の変性による認知症であり、脳の前頭葉や側頭葉の受け持つ働きができなくなります。
前頭葉は、言語や社会性、人格の機能を司(つかさど)り、側頭葉は記憶、言語、聴覚の機能を果たします。
これらの機能がうまう発揮できない場合は、著しい生活上お制約を受けることになります。
本日は前頭側頭葉認知症の原因と症状についての解説をします。
〇本日のテーマ 前頭側頭型認知症 経過と対応
〇記事の信頼性
記事を書いている私は、心理学分野で博士号を取得しています。
〇読者への前置き
・精神医学と心理学の二方面から人間関係を困難にする状況をゆっくり解説します。

前頭側頭葉認知症の原因
前頭側頭認知症の原因は、あまりわかっていないのです。「タウ蛋白」「TDP-43」の蛋白質が影響していると考えられています。
これらのたんぱく質が、脳の前頭葉と側頭葉にたまっていきます。
アルツハイマー型認知症と区別するために、MRI・CTなどの装置を使って調べたりします。血流を調べるためにPET、脳血流メンチグラフィーという装置を使うこともあります。
前頭側頭葉認知症の症状
前頭葉の脳細胞が侵されることにより、言語や人格、社会性の齟齬が生じます。
発症年齢が、50代~60代と社会の第一線で働く人が多いので、自覚症状が少ないこととが挙げられます。
本人が気づかずに病気が進行していきます。
「性格の変化」が起こってきたら、この認知症を疑って良いかもしれません。まるで「人が変った」という感じです。
その他、次のような行動が見荒れます。
実行機能の障害
仕事、掃除、料理など、段取りを決めて物事を進めて、処理をすることが困難な状況になってきます。
なかなか、思うように実行することができなくなります。
社会性がなくなる
他者の関係などを考えられなくなる「社会性がなくなる」ことが起こってきます。
例えば、頻繁に万引きを引き起こすことや、自分の着るものを気にしなくなってくることがおこります。
行動を止めることが難しくなる(脱抑制:だつよくせい)
他者に対して、抑制が効かなくなり、暴力をふるうことを繰りかす、信じられない暴言をはいたりします。また、ふざける行為が止まらなくなり、度を超すことがあります。
他人の食べ物を取って食べるなどの事も時に見られます。
同じ動作をくりかえしてしまう(常同行動)。
同じ動作を繰り返して行う。いつも同じ動作を繰り返すことがみられます。
例えば、同じ服を着る、決まった場所にいつもいるなどの行動が見られます。
感情が鈍くなる(同情・共感性の欠場)
他人の言うことに共感ができない。感情を共有できない。「がんばれ」「よくやった」「私もうれしい」などの感情移入ができなくなってきます。
注意が他に移りやすい(注意転導性の亢進)
ある物への注意を保つことができずに、関心があちらこちらに移りやすくなる。
一つの動作を持続することが難しくなります。
介護者と同じ行動をとる(被影響性の亢進)
介護者が坐ると座る。立つと立つ。話をすると、同じ言葉をかえしたりします。
本人を取り囲んでいる者の影響を受けやすくなります。
決まった時間に決まった行動をする
決まった時間になると、決まった行動を取る人もいます。決まった行動をしないようにすると、怒りを表したりします。
まるで、時刻表通りい事を勧めているかのような状況になります。
食行動の異常
甘い物や、味がはっきりした濃いものを好きになり、大量に食べたりします。
同じものばかりを食べることが見られることもあります。